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◇◆◇  鈴木正次特許事務所 メールマガジン  ◇◆◇
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━ 知財担当者のためのメルマガ ━━━━━━━━━━━━━━
2016年1月1日号

  本号のコンテンツ
   ☆知財講座        ■特許制度の目的とは?■
   ☆ニューストピックス   ■論文の特許の引用数を調査■
   ☆イベント・セミナー情報
 

新年明けましておめでとうございます。

昨年は格別のご高配を賜り心より御礼申し上げます。

本年も所員一同、日々研鑽を怠ることなく、誠意をもって知的財産サービスの提供をして参りたいと存じますので、本年も変わらぬお引き立ての程、宜しくお願い致します。

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┃知┃財┃基┃礎┃講┃座┃
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「知財基礎講座」では知的財産制度についての簡単な解説を行います。

発明相談や、特許出願〜特許の権利化、活用という仕事を行っている弁理士の立 場から、企業の知財部・特許部でお仕事をされている皆様に有用と思われる、特 許を中心とする知的財産制度に関する基礎的な事項を毎号紹介します。

■特許制度の目的■
 特許制度は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産 業の発達に寄与することを目的にしています(特許法第1条)。

 人類の発展の歴史は模倣という行為を抜きにしては語ることができません。先 人の優れた知恵、知識、経験や、優れた技術、技能などに学び、新しい知恵、知 識を手に入れる。また、より優れた技術、技能を習得する。このような行為を積 み重ねて人類は発展してきました。このように、模倣という行為は否定されるも のではありません。

 しかし、一方で、「模倣を100%認める」ということになると、かえって、 発展の妨げになります。例えば、「模倣は否定されないのだから、他の人が、新 しいものを社会に提供し始めるまで待ち、新しいものが社会に提供されたら、直 ちにそれを模倣すればよい」と皆が考えるようになれば、かえって、社会の発展 が阻害されることになります。

 そこで、知恵、労力、資金、時間などをつぎ込んで新しい創意、工夫を開発し て社会に提案・公表しようとする人の努力・意欲に刺激を与え、そのような人を 保護し、一方、このようにして社会に提案・公表された新しい創意、工夫を社会 共有の財産として活用できるようにする仕組みとして作り出されたのが特許制度 です。

 米国の旧特許庁の玄関には「THE FUEL OF INTEREST TO THE FIRE OF GENIUS」 (特許制度は、天才の火に利益という油を注いだ)というリンカーン大統領の言 葉が刻まれていました。この言葉が、「新規発明公開の代償としての特許権付 与」として説明される特許制度の目的を端的に示しています。

 知恵、労力、資金、時間などをつぎ込んで新しい創意、工夫を開発して社会に 提案・公表する人に、その代償として、所定の期間、その新しい創意、工夫を独 占排他的に実施できる権利(特許権)を与え、一方、社会の人々にはその新しい 創意、工夫を利用できる機会を与え、両者の間の保護と利用のバランスをうまく 図りながら、社会の発展、特に、産業の発達を図ることを目的にしているのが特 許制度です。

 明治時代に我が国で特許制度が創設されてから昨年で130年が経ちました。 松下電気器具製作所(現・パナソニック)の創業者である松下幸之助氏による 「二股ソケット」の発明や、日清食品の創業者である安藤百福氏による「インス タントラーメン」等についての発明、等についてのエピソードが、世の中によく 知られています。これらは、発明・特許と、企業活動の発展・拡大、社会の発展 との間に深い関係が存在していることを示す実例です。

●特許の様々な活用●

 企業活動の発展・拡大に深い関係を持つ発明・特許ですが、企業が特許権の取 得や、特許の活用を図る目的は様々です。例えば、次のような目的や、活用方法 が知られています。

日々の事業活動の中で誕生する新規、有用な発明を他社に先駆けて特許出願する ことで、その発明を独占排他的に実施できる権利である特許権を取得して自社の 事業の保護・発展・拡大を目指す。また、後から他社が同じ発明を特許出願して 特許権取得することで自社の事業活動継続に支障が生じる可能性を未然に排除する。
 他社が保有している特許権について実施許諾を受けることで先行している優れ た技術を吸収し、自社の技術力向上と、自社の独自の技術開発に結び付ける。
 自社が保有している特許権について広く実施許諾することにより技術の普及と 標準化、これによる自社の事業の拡大・発展を目指す。

 1885年(明治18年)に現・特許法の前身である専売特許条例が公布さ れ、同年8月14日に第1号となる日本国特許が成立して以来、今日までに成立 した日本国特許は583万件を越えています。

 発明の保護と利用の観点から、特許権の存続期間は原則として特許出願の日か ら20年で、その後は、だれでもが自由に特許発明の内容を実施できるように なっており、特許出願の日から20年を越えた特許権は原則として消滅します。 このように特許権による保護は所定の期間に限られていますが、特許庁によれ ば、2013年に現存していた日本国特許の数は183万件を越えていました。 この数は、同年に現存していた特許権の数が238万件であった米国に次いで世 界で2番目に多く、3位の中国(103万件)を大きく引き離していました。

 財産的価値を有し、利益を生み出す源となる発明は、人間の頭の中で考え出さ れるもので、天然資源が豊富とは言えない我が国においてはもっとも大切な資源 といえます。この発明の保護と利用を図りながら産業の発達を目指す特許制度は 今後もますます重要になると思われます。

この特許制度について本号から数回に分けて紹介します。
以上

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■ニューストピックス■

優れた論文は産業界に有用
特許の被引用回数など分析
〜京大チームが調査〜

学術界で高い評価を得た論文は、特許の出願書類にも多く引用され、産業の研究 開発にも有用であることが、京都大学の研究チームの調査によって明らかになり ました。
京都大経済学研究科の依田高典教授のグループは、生命科学と医学系分野の研究 者の論文数、引用数を、世界最大級の学術データベースであるエルゼビア社の 「スコーパス」を使用して調べ、総被引用数が多い順に上位100人の日本人研究 者を抽出。この100人が1996〜2009年に責任著者として発表した論文4736本が 1996〜2012年の間に、他の論文や特許出願に引用された回数を調査しました。

●山中教授のiPS論文が1位●
特許への被引用数を調べた結果、最も多かったのは、京都大学の山中伸弥教授が 2007年に米科学誌「セル」に発表したiPS細胞(人工多能性幹細胞)に関する 論文。特許出願への被引用数は441回。被引用数が多い上位10本のうち、山中教 授の論文は3本でした。
論文への被引用数1位も山中教授のiPS細胞に関する論文。被引用数は2670回 で、平均引用回数(54回)の約49倍でした。
このほか、世界的な免疫学者の審良静男・大阪大学教授らの論文をはじめ、論文 への被引用度が高い論文は、特許でも被引用度が高くなることが確認できました。
研究チームは「学術界で質が高いと評価された論文は、特許にも多く引用されて いることが裏づけられ、産業の研究開発にも有用であることが証明された」と説 明しています。

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  ■イベント・セミナー情報■

1月8日、19日 東京都新宿区 
職務発明規定改正対応実務セミナー
http://blog.goo.ne.jp/jun14dai
(法律事務所フラッグ 弁護士・弁理士 高橋淳)

1月18日 東京都千代田区
外国産業財産権制度セミナー(テーマ:マレーシア・フィリピン産業財産権制度 説明会)(外部サイトへリンク)
(特許庁)

1月19日 東京都千代田区
平成27年度 第4回知的財産権研修[初級](外部サイトへリンク)
((独)工業所有権情報・研修館)

1月25日
グローバル知財戦略フォーラム2016(〜26日まで)(外部サイトへリンク)
(特許庁、(独)工業所有権情報・研修館)

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最終更新日 '16/04/04