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◇◆◇  鈴木正次特許事務所 メールマガジン  ◇◆◇
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2016年11月1日号


  本号のコンテンツ

  ☆知財講座☆
 ■審査手続■

  ☆ニューストピックス☆
 ■「IoT」のデータなど保護へ■
 ■「審査ハンドブック」改訂、IoT関連技術の事例追加■
 ■アップル1位、トヨタ5位(世界企業ブランドランキング)■

  ☆イベント・セミナー情報
 

 デジタル家電やIT(情報技術)分野で国内最大級の展示会「CEATEC(シーテック)ジャパン2016」が先月開催されました。今年はあらゆるものがインターネットにつながる「IoT」(Internet of Things)をコンセプトに押し出していて、IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)がもたらす「第4次産業革命」に対応した企業の展示が目立ちました。
 第4次産業革命と呼ばれる産業構造の劇的な変化の中で、経済産業省は特許制度をはじめとする知的財産制度のあり方について検討を始めました。今号では、その概要と、これに関連した「特許・実用新案審査ハンドブック」の改訂について紹介します。

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┃知┃財┃基┃礎┃講┃座┃
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■特許制度の概要■

(11)審査手続

 特許出願した発明について特許が認められるために要求される条件(特許要件)の中で知っておいた方が望ましいと思われる客体的、手続的要件の概要を前回まで2回にわたって説明しました。
 今回は「出願審査の請求」が特許庁に提出されることで開始される審査の概要を紹介します。

A 審査のフローチャート

 審査請求後の審査の流れは次のようになります。この審査は特許出願が特許要件のすべてを備えているものであるかどうかを検討・判断するもので「実体的審査」と呼ばれます。

出典:平成27年度知的財産権制度説明会(初心者向け)テキスト
第1節「特許制度の概要」
https://www.jpo.go.jp/torikumi/ibento/text/h27_syosinsya.htm

 特許庁では特許出願の審査を行う1800名程度の審査官が技術分野ごとに分かれて審査を行っています。各審査官は審査すべき特許出願(出願日が早く、審査請求が提出されているもの)を多数抱えているため、審査請求が提出されても、直ちに、審査着手できる体制にありません。
 このため、特許出願人が、特許庁から審査結果を受け取ることができるのは、一般的に、審査請求後11カ月程度経過した頃になります。

B 早期審査
 審査請求手続とは別個に「早期審査の申請」を行うことにより申請後3〜4カ月程度で審査結果を受け取ることができるとされています。
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/sesaku/sinsa00.htm
 「早期審査の申請」が認められるためには所定の条件を満たす必要がありますが、平成26年4月から平成30年3月までに特許の審査請求を行う場合で、所定の条件を満たす中小ベンチャー企業、小規模企業に対して適用される審査請求料の2/3減免措置を受け得る中小企業などであれば、そのほとんどは、早期審査・早期審理ガイドラインに定める中小企業に該当し、簡単に、「早期審査の申請」を行うことができます。
 http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/ryoukin/chusho_keigen.htm

C 拒絶理由通知

 審査した特許出願が特許要件のすべてを満たしている、すなわち、「拒絶をすべき理由(=拒絶理由)」を発見できないと審査官が判断する場合には、特許を認めるという審査官の判断「特許査定」が下され特許出願人に通知されます。これに応じて30日以内に1〜3年分の特許料が納付されることで特許権が成立します。
 一方、「特許要件を満たしていないので特許を認めることができない」、すなわち「拒絶理由が存在している」と判断した場合には、必ず、その旨が「拒絶理由通知書」で特許出願人へ通知され、意見を開陳する機会が特許出願人に与えられます。審査官が、いきなり、「特許を認めることができない」という最終判断としての「拒絶査定」を下すことはできません。
 この際、審査する特許出願の「特許請求の範囲」に請求項1から始まって複数の発明(請求項)が記載されているならば、各請求項記載の発明についてそれぞれ審査されます。そして、審査官が気付いた拒絶理由は、一回目の拒絶理由通知書で全部を通知することが原則になっています。
 例えば、
 請求項1記載の発明は特許出願の前に発行されていた出願公開公報(引用文献)に記載されている発明と同一であるから新規性欠如、
 請求項2記載の発明は引用文献記載の発明に基づいて特許出願の際にこの技術分野の当業者が容易に発明できたものであるから進歩性欠如、
 請求項3の記載は不明確であるので特許請求の範囲の記載が明確性要件違反、
 請求項4記載の発明を当業者が実施できる程度に十分・明確に明細書が記載されていないので明細書の記載が実施可能要件違反、等々、
 審査官が気付いたすべての拒絶理由が一回目の拒絶理由通知書で通知されます。

D.意見書、補正書提出

 拒絶理由通知書を受けた特許出願人は指定された期間(60日)内に、審査官に再考を求めるべく意見書を提出できます。この際、手続補正書を提出し、特許請求の範囲を補正する、等して、拒絶理由に引用された先行技術文献記載の発明と特許請求している発明との相違を明確にする対応を採ることもできます。
 手続補正書で行う補正は特許出願時の明細書、特許請求の範囲、図面の記載内容に対して新規事項を追加することにならないよう注意する必要があります。
 意見書で主張する内容も、出願時の明細書等の記載内容に基づいて行うことになりますが、拒絶理由通知書で指摘された文献に記載されている発明との相違を明確にするための実験を行い、その結果に基づく主張を意見書の中で行うこともできます。
 なお、拒絶理由通知書で指定される意見書提出期間(60日)については、所定の期間内に所定の料金を納付して2カ月間の延長を申請できます。
https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/kyozetu_entyou_160401.htm

E.面接審査

 特許出願、等の手続は書面で行うことが原則です。書面の拒絶理由通知書を特許庁から受領し、書面の意見書・手続補正書を提出します。
 しかし、特許出願人と審査官との間の審査に関わる意思疎通を図る目的で、書面での意見書・補正書提出の前に、特許出願人の代理人(あるいは、代理人と特許出願人、その担当者など)が特許庁に出向いて審査官と面談することができます。
 代理人等からの面接要請があった場合、審査官は、原則、一回は面 接を受諾する取り扱いになっています。
https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/mensetu_guide_index.htm
 面接では、直接、審査官と意見交換できます。
 なお、面接は、指定された意見書提出期間内で余裕を持って対応できる時期に申し込むのが望ましいようです。

F.査定、二回目の拒絶理由通知

 審査官は拒絶理由通知書に対して提出された意見書・手続補正書の内容を検討します。
 そして、拒絶理由通知書で指摘していた拒絶理由が解消されたと認めることができ、新たに指摘すべき拒絶理由はないと判断するときには「特許査定」を下し、特許出願人に通知します。
 一方、提出された意見書・手続補正書を検討しても拒絶理由通知書で指摘していた拒絶理由が解消されていないと判断するときには「拒絶査定」を下し、特許出願人に通知します。
 特許出願人が「拒絶査定」に不服な場合には3カ月以内に特許成立を目指して拒絶査定不服審判を請求し3名の特許庁審判官が慎重に合議する審理を受けることができます。拒絶査定不服審判を請求できる期限内に審判請求が行われない場合に「拒絶査定」が確定し特許出願は消滅します。
 審査官が気付いた拒絶理由を一回目の拒絶理由通知書ですべて指摘していることから、拒絶理由とそれに対する意見書・補正書提出は一回で、その結果、特許査定あるいは、拒絶査定となるのが一般的です。
 しかし、ときには、複数回、拒絶理由が通知されることもあります。
 例えば、提出された意見書・手続補正書によって拒絶理由通知書で指摘していた拒絶理由は解消されたと認めることができるが、補正されたことによって新たな拒絶理由が生じた、あるいは、一回目の拒絶理由通知書で指摘し忘れていた拒絶理由に気づいた、というような場合には、二回目の拒絶理由が通知され、再度、指定する意見書提出期間(60日)内に意見書・補正書を提出する機会が特許出願人に与えられます。以降も同様で、非常にまれですが、3回、4回と拒絶理由が通知されることもあります。
 多くはありませんが、拒絶理由が一回も通知されることなしに「特許査定」が下されることもあります。審査を受けるほとんどの特許出願は拒絶理由通知を受け、意見書・補正書提出の対応を行うことで特許成立にたどり着きます。現状では、技術分野によって相違がありますが、審査を受けた特許出願の中の60〜70%に特許成立するようです。
以上


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■ニューストピックス■

●「IoT」のデータなど保護へ●
〜経済産業省の検討会〜

 経済産業省は、あらゆるものがインターネットにつながる「IoT」(Internet of Things)や「AI」(人工知能)など、新しい技術が急速に発展する社会に対応するため「第4次産業革命を視野に入れた知財システムの在り方に関する検討会」を設置し、本格的な議論を開始しました。
 検討会は、AIやIoTの活用をめぐり、データの増加と、それを加工・処理する関連技術が急速に発達する「第4次産業革命」の下、企業の知財戦略とそれを支える知的財産制度の在り方についての検討を行います。
 IoTやAIの技術では、さまざまなセンサーなどから得られる膨大な情報がリアルタイムで収集、分析され、企業などの間でやり取りされますが、データそのものや、その分析結果について、著作権法などによって知的財産をどのように保護するかが明確ではありません。
 このため経済産業省は、こうしたデータを知的財産として保護するための法制度の在り方について議論を進め、今年度中にも中間取りまとめを行う方針です。
 第4次産業革命の下では、新たな情報財が次々と生み出され、また、産業構造の変革によって、企業に求められる経営戦略、知財戦略は複雑化し、知財制度・運用に期待される役割も多様化するため、検討に当たっては、個別産業分野ごとの将来像や課題も視野に入れて、検討していく予定です。
 具体的には、自動車分野、ロボット分野、医療・介護分野、バイオ分野などを対象分野とし、業界別に課題を洗い出したうえで、知的財産を守るための法整備を検討します。

●IoT関連技術の事例を追加、「審査ハンドブック」を改訂●
〜特許庁が12事例を例示〜

 特許庁は、IoT関連技術に関する事例を追加した「特許・実用新案審査ハンドブック」の改訂版を公表しました。
 IoT関連技術の研究開発や実用化が進んでいることから、IoT関連技術に係る特許出願について、審査基準を適用したときの考え方を示す例として、様々な技術分野で12事例を紹介しています。発明の該当性の判断で3事例、新規性の判断で4事例、進歩性の判断で5事例、計12例が追加されています。
 追加された事例は、IoT 関連技術に係る発明について、どのような特許出願を行えばよいか、また審査における拒絶理由通知に対してどのように対応すればよいかなどを判断する指針となります。
 詳しくは特許庁HPをご参照ください。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/handbook_shinsa_h2809/h2809_01.pdf
IoT 関連技術に関する事例について(PDF)

 「特許・実用新案審査ハンドブック」に追加された事例の中から「無人走行車配車システム」を紹介します。

●事例 〜発明該当性〜●

【請求項1】
配車サーバと配車希望者が有する携帯端末と、無人走行車とから構成されるシステムであって、
前記携帯端末が、ユーザID及び配車位置を前記配車サーバに送信する送信部を備え、
前記配車サーバが、ユーザIDに対応付けてユーザの顔画像を記憶する記憶部と、前記携帯端末から受信したユーザIDに対応付けて記憶された顔画像を前記記憶部から取得する取得部と、無人走行車の位置情報及び利用状態に基づいて、配車可能な無人走行車を特定する特定部と、前記特定された無人走行車に対して前記配車位置及び顔画像を送信する送信部と、を備え、
前記無人走行車が、前記配車位置まで自動走行する自動走行部と、
前記配車位置にて、周囲の人物に対して顔認識処理を行う顔認証部と、
受信した前記顔画像に一致する顔の人物を配車希望者と判定し、無人走行車の利用を許可する判定部と、を備えることを特徴とする、
無人走行車の配車システム

【結論】
 請求項1に係る発明は、自然法則を利用した技術的思想の創作であり、「発明」に該当する。

【説明】
 請求項1の記載から、無人走行車の配車という使用目的に応じた特有の演算又は加工が、配車サーバ、ユーザ端末、無人走行車から構成されるシステムという、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段によって実現されていると判断できる。そのため、請求項1に係る発明は、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働することによって使用目的に応じた特有の情報処理システムを構築するものである。

●IoT関連技術の事例を追加、「審査ハンドブック」を改訂●
〜特許庁が12事例を例示〜

 特許庁は、IoT関連技術に関する事例を追加した「特許・実用新案審査ハンドブック」の改訂版を公表しました。
 IoT関連技術の研究開発や実用化が進んでいることから、IoT関連技術に係る特許出願について、審査基準を適用したときの考え方を示す例として、様々な技術分野で12事例を紹介しています。発明の該当性の判断で3事例、新規性の判断で4事例、進歩性の判断で5事例、計12例が追加されています。
 追加された事例は、IoT 関連技術に係る発明について、どのような特許出願を行えばよいか、また審査における拒絶理由通知に対してどのように対応すればよいかなどを判断する指針となります。
 詳しくは特許庁HPをご参照ください。

IoT 関連技術に関する事例について(PDF)
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/handbook_shinsa_h2809/h2809_01.pdf

「特許・実用新案審査ハンドブック」に追加された事例の中から「無人走行車配車システム」を紹介します。

●事例 〜発明該当性〜●

【請求項1】
配車サーバと配車希望者が有する携帯端末と、無人走行車とから構成されるシステムであって、
前記携帯端末が、ユーザID及び配車位置を前記配車サーバに送信する送信部を備え、
前記配車サーバが、ユーザIDに対応付けてユーザの顔画像を記憶する記憶部と、前記携帯端末から受信したユーザIDに対応付けて記憶された顔画像を前記記憶部から取得する取得部と、無人走行車の位置情報及び利用状態に基づいて、配車可能な無人走行車を特定する特定部と、前記特定された無人走行車に対して前記配車位置及び顔画像を送信する送信部と、を備え、
前記無人走行車が、前記配車位置まで自動走行する自動走行部と、
前記配車位置にて、周囲の人物に対して顔認識処理を行う顔認証部と、
受信した前記顔画像に一致する顔の人物を配車希望者と判定し、無人走行車の利用を許可する判定部と、を備えることを特徴とする、
無人走行車の配車システム

【結論】
 請求項1に係る発明は、自然法則を利用した技術的思想の創作であり、「発明」に該当する。

【説明】
 請求項1の記載から、無人走行車の配車という使用目的に応じた特有の演算又は加工が、配車サーバ、ユーザ端末、無人走行車から構成されるシステムという、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段によって実現されていると判断できる。そのため、請求項1に係る発明は、ソフトウエアとハードウエア資源とが協働することによって使用目的に応じた特有の情報処理システムを構築するものである。

●アップル1位、トヨタ5位(世界企業ブランドランキング2016)●

 米大手調査会社「インターブランド」は、世界のブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2016」の上位100社を発表しました。
 1位は4年連続でアップル。2位:グーグル、3位:コカコーラ、4位:マイクロソフトと上位4社は前年と同じでした。
 日本企業では、トヨタ自動車が前年から順位を1つ上げ、アジア勢で初めて5位に入りました。100位以内の日本企業は6社。
 トヨタは、アジア圏の企業として初めてトップ5に入りました。トヨタのブランド価値は、前年より9%増の約536億ドル(約5.5兆円)でした。スポーツカーの開発や人工知能(AI)の研究開発などが企業価値を高めたと評価されました。
 100位以内に入った日本企業は6社で前年と同数。21位にホンダ、42位キヤノン、日産自動車43位、ソニー58位、パナソニック68位となりました。
 インターブランドはブランドが消費者の購買動向に与える影響や財務状況などを分析して評価し、ブランド価値を金額に換算してランク付けしています。

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  ■イベント・セミナー情報■

11月9〜11日 東京都千代田区 科学技術館
http://www.pifc.jp/
2016 特許・情報フェア&コンファレンス
(発明推進協議会など)

11月14・15日 東京都港区 発明会館
http://www.jiii.or.jp/kenshu/h28/1114.pdf
知的財産権 基礎講座
(発明推進協議会)

11月21、29日 東京都中央区 銀座ブロッサム中央会館
http://www.jiii.or.jp/h28_jitsumusya/index.html
平成28年度知的財産権制度説明会(実務者向け)
(特許庁)

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〒160-0022 東京都新宿区新宿6‐8‐5
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最終更新日 '17/04/07