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◇◆◇  鈴木正次特許事務所 メールマガジン  ◇◆◇
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━ 知財担当者のためのメルマガ ━━━━━━━━━━━━━━

2017年7月1日号


 本号のコンテンツ


  ☆知財講座☆

 ■中小企業の知財戦略■

 (3)発明の発掘


  ☆ニューストピックス☆

 ■中小企業の特許出願件数、5年連続増加(特許庁)
 ■商標の大量出願で運用の一部変更(特許庁)
 ■「知財ビジネス評価書」を金融機関に提供(特許庁)
 ■「東京・横浜」が世界1の技術革新の集積地(WIPO)


  ☆イベント・セミナー情報


 特許庁は、平成29年度の知的財産権制度説明会(初心者向け)を47都道府県各地で7月〜9月に開催します。
 特許庁の産業財産権専門官が、やさしく分かりやすく「知的財産権制度の概要」や各種支援策などを説明してくれます。自社の知財について、どのようなことから始めたらよいか分からない場合は、まず初心者向けの説明会で概要を把握してみてはいかがでしょうか。
http://www.jiii.or.jp/h29_shoshinsha/

 自社の知財について具体的に考えていきたい場合は、当事務所までご相談ください。

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┃知┃財┃基┃礎┃講┃座┃
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■中小企業の知財戦略■

(3)発明の発掘

 これまで紹介しましたように中小企業における特許出願、特許取得は、業績の向上やヒット商品の誕生に貢献しており、規模が小さい企業になるほど信用力の獲得や、新規顧客の開拓につながっています。
 ところで、特許を取得すればそれだけで業績の向上などに貢献できるというものでもありません。市場やユーザー・顧客のニーズを的確に収集・把握・理解し、それに応える技術を開発する、開発した新技術が採用されている新製品を市場や、ユーザー・顧客に提案する、これらを総合して会社の業績向上が図られ、その中で、出願・取得した特許権・意匠権・商標権などの知的財産が活用されることになります。
 そこで、企業における特許出願の種=発明の発掘・誕生は、技術開発部門・生産現場での検討・提案の中で行われるだけではなく、マーケティングを受けての技術開発の中で行われることも多いと思われます。

A.マーケティングからの技術開発での発明発掘・誕生

 企業にとって、常に、市場や、ユーザー・顧客からの要望に応えることのできる製品・サービスを提供することは大切です。
 この点で、市場の動向、ユーザー・顧客のニーズに常に接している営業担当者が収集してくる情報は会社の技術開発において大きな意味を持ちます。
 時には、営業担当者が収集してきた市場動向、ユーザー・顧客のニーズについて、生産現場・技術開発部門の技術者も含めて検討する中で、発明のきっかけをつかむことがあります。
 生産現場・技術開発部門の技術者が、営業担当者が収集してきた情報に接することで、日常的に繰り返している作業の中からだけでは生まれてこない新しい視点、発想を得ることができたり、市場に存在している他社製品に包含されている他社の技術と比較した自社技術の強い点、弱い点に気づくことがあります。
 こうして、市場やユーザー・顧客のニーズに応える技術の開発が行われます。例えば、自社技術の強みを活かして、あるいは、自社になかった技術を新たに取り込んで、市場やユーザー・顧客のニーズに応える技術が開発され、発明が発掘され、誕生することになります。
 市場やユーザー・顧客のニーズをいち早く把握し、そのニーズに応える新技術・新製品を創作・製作し、それをいち早く特許出願して特許取得すれば優位に立つことができます。
 また、このような知的財産活動の中で、営業部門、生産・技術開発部門を問わず、社員が、市場の動向、ユーザー・顧客のニーズに関する情報に敏感になり、会社の事業の中における、発明の創作、出願・特許取得などの知的財産活動の意義を認識できるようになることが期待されます。

B.技術開発部門・生産現場での発明発掘・誕生

 どのような生産現場でも不便や困難を感じるところが存在したり、より良い製品を提供するためにもう少し改善・改良できないだろうか、と感じるところが存在すると思われます。
 これらの改善・改良を技術開発部門・生産部門で検討する中で発明が発掘され、誕生します。
 一つの問題点・課題を解決する提案がなされれば、最初の問題点・課題は解決できても、次の新たな問題点・課題が浮かんでくることが一般的です。
 例えば、生産能力を向上させたいということで、処理速度を速めれば、騒音が大きくなる、機械の構造の耐性が不足する、等、次の問題点・課題が浮かんできます。
 この無限ループ、螺旋状的な、問題点・課題の把握・抽出、それに対する解決策の提案、これによって浮かび上がってくる新たな問題点・課題の把握・抽出、それに対する次なる解決策の提案、・・・を繰り返す中で、より競争力のある、より良い製品を提供する上で、実際に採用することを検討できる発明が発掘され、誕生することが多いと思われます。
 また、このような技術開発部門・生産現場での検討を通じて、会社が市場に提供している製品・商品をより競争力がある、より良いものにしていく上での解決すべき課題・問題点の把握方法、課題・問題点に対する解決策の案出方法が、技術開発部門・生産現場で働いている社員全体に共有され、会社の人的、知的な財産として蓄積されていくことが期待されます。

 次回は、このようにして発掘・誕生した発明が特許出願するに足るものであるか、特許調査を行って検討する作業について紹介します。

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■ニューストピックス■

●中小企業の特許出願件数、5年連続増加●
〜「特許行政年次報告2017年版」

 中小企業の特許出願件数が5年連続で増加していることが、特許庁がまとめた「特許行政年次報告2017年版」で明らかになりました。報告書によりますと、2016年の中小企業による出願件数は3万9624件(2015年:3万6017件)となり、2006年の3万9748件に次いで10年ぶりの高水準となりました。
 過去に特許や商標などを出願したことがない中小企業の「新規出願」も増加傾向で、16年は2万件を超え、3年連続で増加しています。新規出願者数も前年比12.5%増の1万2688者と大きく伸びています。
 特許出願件数に占める中小企業の割合は15.2%(同:13.9%)となり、4年連続で過去最高を更新しました。
 中小企業による海外への特許出願件数も増加傾向にあり、海外出願率は15.6%となりましたが、大企業の34.2%に比べて低い状況が続いています。ただ、特許庁を受理官庁とし、中小企業が特許協力条約に基づく国際特許出願(PCT出願)した件数は、前年比5.8%増の3908件と過去最高となりました。
 商標については、16年の中小企業による出願が7万8907件(同:6万4241件)となり過去最高を更新。出願件数に占める中小企業の割合は約59%と前年から5ポイント増えました。
 中小企業の特許出願件数の増加について特許庁は、「大企業のグローバル展開の進展などサプライチェーンの構造が転換し、自社製品の開発により、下請けからの脱却を目指したり、海外展開を志向するなど知的財産を経営戦略としてとらえる必要性に迫られている中小企業が増えてきた」と分析しています。

「特許行政年次報告書2017年版」は、特許庁HPからダウンロードができます。
https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/nenji/nenpou2017_index.htm

●商標の大量出願で審査開始までの運用を一部変更(特許庁)●

 特許庁は、当事者とは関係のない第三者から「出願手数料の支払いがない商標登録出願」(瑕疵のある出願)が大量になされている問題を受け、ホームページ上で改めて審査の流れを説明しています。
 第三者に商標を出願された当事者に対し「先に瑕疵がある出願を他人がしていても、その却下を待つ必要はなく出願できる」と注意を促しています。また、後から出願しやすいように、審査・登録時の運用も見直しました。
 商標登録は基本的に先願主義ですが、特許庁では、もともと瑕疵のある出願の却下を待つことなく、後願の審査を開始しています。このような手続上の瑕疵のある出願については、出願の日から概ね4か月から6か月で出願を却下しています。
 ただ、瑕疵のある出願が却下されるまでの間、後願側に「拒絶理由」(先願があるため手続きを進められない旨)を通知する場合がありました。この通知に「先願が瑕疵ある出願であること」は盛り込まれていませんでしたが、今後は、この運用を変更し、拒絶理由を通知する際は、「先願は瑕疵のある出願であり、却下確認後に登録査定を行う」旨を明示するようにしました。
 特許庁は「商標登録出願を行おうとする際に、先に手続上の瑕疵のある出願が他人からなされていたとしても、ご自身の商標登録出願について、先願となる商標登録出願が却下されるのを待つ必要はありません」と注意を呼びかけています。

●「知財ビジネス評価書」を地域の金融機関に提供(特許庁)●

 特許庁は、中小企業の知的財産を活用したビジネスを評価し「見える化」することで、地域金融機関からの融資等につなげるため、中小企業の知的財産を活用したビジネスを評価する「知財ビジネス評価書」を、地域金融機関に無償で提供しています。
 中小企業の中には、特許権を取得できても、その製品化や販路形成に投資をする余裕がなく、事業化に至らないケースもあります。また、金融機関の融資を受けようとしても、特許など知的財産の金融的価値は、高い専門性がなければ的確に評価できないこともあるため、思うような融資を受けられないケースも少なくありません。
 「知財ビジネス評価書」は、特許庁の提携調査機関が中小企業の知財ビジネスを客観的に評価して金融機関に示すもので、特許庁は、平成29年度の「知財ビジネス評価書」の作成について、このほど地域金融機関からの申込み受付けを開始しました。
 この評価書により金融機関は、中小企業の特許や技術等がどのようにビジネスに貢献し、利益を生み出しているのかが把握でき、価値ある知的財産を保有する中小企業にとっては、融資が受けやすくなると期待されています。
 知財ビジネス評価書の作成を受けたい知的財産をお持ちの中小企業の方は、地域の金融機関に相談してみましょう。

詳細は特許庁「知財金融ポータルサイト」
http://chizai-kinyu.go.jp/about/

●「東京・横浜」が世界1の技術革新の集積地(WIPO)●

 世界知的所有権機関(WIPO)は、特許協力条約(PCT)に基づく国際特許出願のうち、過去5年間に公開された特許出願を地域別に分析した結果、東京・横浜が世界で最多の技術革新を生み出している集積地であることが明らかとなりました。
 WIPOは2011年から2015年までPCTに沿った国際特許出願95万件を、特許出願地が属する企業・機関・学校などを地域基準として、一つの塊(クラスター)でまとめました。
 その結果、日本からは東京・横浜が9万4079件で1位となったほか、大阪・神戸・京都が2万3512件で5位、名古屋が1万3515件で9位と3地区がトップ10にランクインしました。  2位は中国の深セン・香港で、4万1218件。3位は、米国シリコンバレー(サンノゼ・サンフランシスコ)で3万4324件。4位はソウルで3万4200件。
 100位以内にランクインした集積地の数が最も多かったのは米国(32)で、次いでドイツ(12)、日本(8)、中国(7)、フランス(5)、韓国とカナダ(各4)という順位になりました。

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  ■イベント・セミナー情報■

7月4日 メルパルク東京
http://www.jiii.or.jp/h29_shoshinsha/area.html
平成29年度知的財産制度説明会(初心者向け)
(特許庁)

7月13・20・27日 AP秋葉原
https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/seminar/2017/290713shohyo.html
中小企業にとっての商標セミナー
(東京都知的財産総合センター)

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発行元 : 鈴木正次特許事務所
〒160-0022 東京都新宿区新宿6‐8‐5
新宿山崎ビル202
TEL 03-3353-3407 FAX 03-3359-8340
E-mail:
URL: http://www.suzuki-po.net/

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最終更新日 '18/01/15