新春展望
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 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 本年7月26日(金)から2024年夏季オリンピックがフランス パリで開催されます。日本選手団の活躍が期待されるところですが、何よりも、「平和の祭典」と称されるオリンピック開催の本年が平和で穏やかな一年であることを願います。

社会の隅々にまで景気の好循環が広がる年に

 昨年の日本経済は全般的には穏やかな成長を続けたと考えられています。コロナ禍が明けたことによるインバウンドの拡大、円安の進行による輸出の拡大などで業績拡大を実現できた分野が多くありました。
 その一方で、円安の進行による原油、原材料価格の値上げなどにより、苦しい事業運営を迫られる分野も多くありました。
 本年は社会の隅々にまで景気の好循環が広がる年になることを期待したいものです。

毎年のように増加する世界の特許出願

 世界知的所有権機関(WIPO)が昨年11月に発表した「世界知的財産指標報告書」によると、2022年、世界各国の特許庁が受け付けた商標登録・意匠登録の出願件数は前年から減少した一方で、特許出願件数は3年連続で増加し、過去最高の約346万件でした。
 その中でも、中国特許庁が受け付けた特許出願件数は約158万件で、前年に引き続いて世界一で、引き続き世界全体の特許出願件数の半分程度が中国特許庁に対する特許出願であるという状態が続きました。
 また、インド特許庁に対する特許出願件数が前年比で31.6%増加し、中国・インド特許庁を含むアジア地域の各国特許庁への特許出願件数が世界の特許出願件数の67.9%を占めました。同報告書によれば、全世界の商標登録出願の67.8%、意匠登録出願の70.3%がアジア地域の各国特許庁に対して行われており、特許、意匠、商標などの知的財産権取得を目指した出願の多くがアジア地域で行われているという長期的な傾向が2022年も続いたとされています。

日本特許庁に対する特許出願

 アジア地域の各国特許庁に対する特許出願が増加する中で、我が国特許庁が受け付ける特許出願の数もコロナ禍を経て、2022年には前年に比較して増加に転じ、昨年(2023年)も増加傾向が維持されました。

増加傾向を続ける外国からの特許出願

 外国人(法人)による日本への特許出願件数は、日本国特許庁が受け付ける特許出願件数の全体が増加傾向に転じるより前から増加傾向に転じています。特許庁が毎年発行している特許行政年次報告書によれば、外国人による日本国特許庁への特許出願は2010年代に入って減少傾向にありましたが、2019年に底を打って、その後は増加傾向に転じています。
 2022年に我が国特許庁が受け付けた外国人(法人)からの特許出願件数は2019年に比較して18%増加しました。特に、増加傾向にあるのが中国、韓国からの特許出願です。2022年の中国、韓国からの特許出願はそれぞれの国からの2019年の特許出願件数に比較して73%(中国)、29%(韓国)増加しました。外国からの特許出願に占める中国、韓国からの特許出願の割合も外国人(法人)全体の中の14.0%(中国、2019年は12.7%)、11.0%(韓国、2019年は9%)に増加しました。
 日本国特許庁に対する特許出願は、日本国内へ物を輸出する、日本国内で物を製造する、日本国内で物を販売する、日本国内でサービス提供を行う、等の計画があるときに、優位性・競争力を確保する目的で行われるものです。
 外国人(法人)からの日本国特許庁への特許出願件数が増加傾向にあることは、日本国内市場が魅力的で、拡大する余地があると外国人(法人)に認識されているからではないかと思われます。

堅調な中小企業による特許出願

 我が国特許庁が受け付ける特許出願の数がコロナ禍を経てようやく増加傾向になる中で、中小企業による特許出願の数は、2017年では日本人(法人)による特許出願件数の中の15.3%であったものが、2022年には18.1%に拡大し、堅調さが示されています。
 人間の頭の中で考え出された知的な情報であって、それを活用することで経済的価値を生み出すことのできる発明、特許などの無形資産が、これからの我が国にとって重要なものであることは広く社会で認識されているところです。
 我が国政府が創設することを検討しているとされる「イノベーションボックス税制」は、特許や著作権を生み出した企業を優遇しようとするものです。このような動きになることは、発明、特許などの無形資産が、我が国の成長力の向上に重要な役割を果たすことを政府が認識していることの表れであると思われます。
 前述したように、我が国において、中小企業による堅調な特許出願が続いていることは、これまで世の中になかった新しい工夫、新しい価値を創出することが、中小企業にとっては、特に、大切である、と認識されているからではないかと思われます。

新しい時代を新しい力と共に切り開きましょう

 昨年末、経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査「PISA2022」の最新結果が発表されました。コロナ禍においてOECD各国の平均得点が低下した一方で、日本は、数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシーの3分野すべてにおいて前回調査より平均得点が上昇したという結果でした。
 OECDからは、コロナ禍で休校した期間が他国に比べて短かったことが影響した可能性があることが指摘されましたが、文部科学省は、学校におけるICT(情報通信技術)環境の整備、これにより生徒がICT機器の使用に慣れた点なども影響したのではないかとの評価を示しています。
 学校教育の場でICT環境の整備が進み、ICT機器の使用に慣れた若者が育ちつつあり、21世紀になってから生まれた人々が社会に広く登場する時代です。日常的にスマートフォンが使われ、いわゆる家電という固定電話が家に存在していないような環境で育った若者が社会に登場してきています。
 このような新しい力と共に、新しい時代を切り開く一年にしたいものです。


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鈴木正次特許事務所

最終更新日 '24/05/06
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