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 商標「レッズ/REDS」は、我国においては米国メジャーリーグの球団「CINCINNATI REDS」の略称というよりは、むしろ、プロサッカーリーグに所属する「浦和レッズ」のクラブ名の略称として相当程度認識されているから、第42類の役務について上記米国球団又は同球団と事業上何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、役務の出所について混同を生ずるおそれはないと判断された事例
(平成11年異議第90235号、平成11年7月21日決定、審決公報第4938号)
 
1.本件商標
 本件登録第4202836号商標(以下、「本件商標」という。)は、「レッズ」の片仮名文字と「REDS」の欧文字とを二段に横書きしてなり、平成9年2月28日に登録出願、第42類に属する商標登録原簿に記載の通りの役務を指定役務として、平成10年10月23日に設定登録されたものである。

2.登録異議の申立ての理由
 別紙に示す「REDS(レッズ)」商標、すなわち、引用A商標、引用B商標及び引用C商標(以下、「引用各商標」という。)は、米メジャー・リーグに所属する球団「CINCINNATI REDS(シンシナティ・レッズ)」を表すものとして取引者・需要者の間において広く認識されている商標であるから、本件商標をその指定役務に使用するときは、「CINCINNATI REDS」の業務に係る役務とその出所について混同を生ずるおそれがある。

3.当審の判断
 本件商標は、その構成前記のとおり、「レッズ」、「REDS」の各文字よりなるものである。
 しかして、申立人提出の証拠を徴するに、米国メジャーリーグに所属する「CINCINNATI REDS」(シンシナチ レッズ)球団の名称は我国の不特定多数の者において知られるものとしても、進んで、該球団又は引用各商標が「レッズ」又は「REDS」の略称をもって我国の取引者・需要者の間に広く認識されていたかどうかの点までは明らかでなく、むしろ、我国において該文字は、我国プロサッカーリーグ(Jリーグ)に所属する「浦和レッズ」のクラブ名の略称としてサッカー界を中心に相当程度認識されている事情を考慮すれば、本件商標をその指定役務に使用した場合、その役務が「CINCINNATI REDS」球団又は同球団と事業上何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、役務の出所について混同を生ずるおそれはないといわなければならない。
 してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものということはできない。
 その他、本件商標の登録を取り消すべき理由及び証拠は、発見しない。
 よって、結論の通り決定する。


   
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鈴木正次特許事務所