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 標章「MILD SEVEN」は、原登録商標がその指定商品の分野において需要者間に広く認識された商標であり、その指定商品と本願標章の指定商品とは関連などするから、本願標章を他人がその指定商品について使用した場合には、出所の混同を生ずるおそれがあるとして、商標法64条の要件を具備すると判断された事例
(平成9年審判第14340号、平成12年4月4日審決、審決公報第11号)
 
1.本件商標
 本出願に係る標章(以下、「本願標章」という。)は、その構成を「MILD SEVEN」の欧文字とし、第12類に属する商品を指定商品として、商標登録第1613079号(以下、「原登録商標」という。)に係る防護標章登録出願として、平成4年12月28日に登録出願、その後、指定商品については、平成11年9月30日付手続補正書をもって「船舶並びにその部品及び附属品、航空機並びにその部品及び附属品、鉄道車両並びにその部品及び附属品、自動車並びにその部品及び附属品、二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品、乳母車、人力車、そり、手押し車、荷車、馬車、リヤカー、車いす、荷役用索道、カーダンパー、カープッシャー、カープラー、牽引車、陸上の乗物用の動力機械器具、軸、軸受け、軸継ぎ手、ベアリング、動力伝導装置、緩衝器、ばね、制動装置、陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機、タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片、乗物用盗難警報器、落下傘」と補正しているものである。
 原登録商標は、商標の構成を「MILD SEVEN」の欧文字とし、指定商品を平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令第1条所定の「商品の区分」第27類「たばこ、マッチ」として、昭和58年8月30日に設定の登録がされ、該商標権は現に有効に存続するものである。


2.原査定の拒絶理由
 原査定は、本願標章は商標法64条の要件を具備しないとして、本願を拒絶したものである。

3.当審の判断
 本願標章と原登録商標とは、商標の構成において、同一と認め得るものであり、かつ、その権利主体も同一人と認められる。
 請求人(登録出願人)が原審及び当審においてそれぞれ提出した参考資料1ないし参考資料34並びに甲第1号証乃至甲第36号証の各書証によれば、請求人に係る原登録商標は、その指定商品の分野(たばこ及びその関連商品)において需要者間に広く認識せられた商標と判断するのが相当である。そして、たばこ及びその関連商品と本願標章の指定商品とは、一般に自動車等の乗物及びその関連用品には予め喫煙設備が取り付けられる状況があり、かつ、両商品は需要者の範囲を共通にする場合があること等の点で両者は屡々関連するものであり、さらに、請求人の事業規模並びに現今の異業種分野への進出状況等、諸般の事情を併せ考慮するに、本願標章を他人がその指定商品について使用した場合、これに接する需要者が請求人の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるとみるのが相当である。
 以上によれば、本願標章は、商標法64条において定める防護標章登録を受ける要件を具備するものというべきであるから、同法条の規定を理由に拒絶することはできない。
 その他、本願について拒絶をすべき理由を発見しない。
 よって、結論の通り審決する。


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鈴木正次特許事務所