最近の注目審決・判決を紹介します。

A. 商標「THE POSITIVE FOOD COMPANY」は、請求人(出願人)の会社の商号とは異なるけれども、「COMPANY」が「会社」の他に「一団」「仲間たち」等の意味をも有するものとして良く知られた英語であることに鑑み、会社の商号を表すためにのみ使用されるものとはいい得ないから、これを商標として使用しても、商取引の秩序を混乱させるものとは認められないと判断された事例
(不服2000-14472、平成13年3月7日審決、審決公報第18号)
 
1.本件商標
 本願商標は「THE POSITIVE FOOD COMPANY」の文字を横書きしてなり、平成11年6月17日に登録出願され指定商品については願書記載のとおりである。

2.原査定の拒絶の理由
 原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、出願人の商号と相違する『THE POSITIVE FOOD COMPANY』の文字を書してなるものであるから、これは明らかに出願人の会社の商号とは異なるものであり、商取引の秩序を混乱させることから、これを出願人が商標として使用することは、穏当を欠くものと認めます。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法4条1項7号に該当します。」として拒絶したものである。

3.当審の判断
 本願商標は、上記のとおりの構成文字を書してなるところ、その「COMPANY」の文字は、「会社」「一団」「仲間たち」等の意味を有する良く知られた英語であって、これが会社の商号を表すためのみに使用されるものとはいい得ないものであるから、本願商標を構成する「THE POSITIVE FOOD COMPANY」の文字が、原審説示のように請求人(出願人)の会社の商号とは異なるものであるとしても、これを出願人が商標として使用することが、商取引の秩序を混乱させるものとは認められない。
 したがって、本願商標を商標法4条1項7号に該当すると認定した原査定の拒絶理由は妥当でなく、その理由をもって拒絶すべきものとすることはできない。
 その他、本願について拒絶をすべき理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。


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B. 商標「和食応援団」は、販売促進用のキャッチフレーズの一類型と認識・理解されるものではないから、商標法第3条1項6号に該当しないと判断された事例
(不服2000-15773、平成13年3月12日審決、審決公報第18号)
 
1.本件商標
 本願商標は、「和食応援団」の文字を書してなり(標準文字による商標)、第30類「調味料」を指定商品として、平成11年7月6日に登録出願されたものである。

2.原査定の拒絶の理由の要点
 本願商標は、「和食応援団」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、これは本願指定商品との関係において、「食物(料理)の手助けする」の意味合いを表現する語とみられ、全体として「和食の調理を手助けする」旨を端的に表示したと認識させるにすぎないものであるから、このようなものを出願人が本願指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品の品質の効果(イメージ)を表示する、販売促進用のキャッチフレーズの一類型であると理解するに止まり、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。

3.当審の判断
 本願商標は、「和食応援団」の文字よりなるところ、これからは「和食(への)応援団」とでもいうべき意味が看取されるものであって、これが商品の品質、特徴等を簡潔に表す標語(キャッチフレーズ)を表してなるものとは認められない。
 また、本願商標は、拒絶理由で述べたような、販売促進用のキャッチフレーズの一類型と理解して取引者・需要者の間に認識されるものとも認められないものである。
 したがって、本願商標が、商標法3条1項6号に該当するとしてその登録を拒絶した原査定は、妥当でなく、取消を免れない。
 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
 よって、結論のとおり審決する。


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鈴木正次特許事務所