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 商標「アグリア」は、国土庁(国土交通省)が農住組合制度の普及を図るために採用した著名な標章「AGRIA(アグリア)」と同一又は類似であるから、商標法第4条第1項第6号に該当する、と判断された事例
(不服2001-2357、平成14年12月16日審決、審決公報第40号)
 
1.本願商標
 本願商標は、「アグリア」の片仮名文字を横書きしてなり、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,べーキングパウダー,酒かす」、第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」を指定商品として、平成11年10月19日に登録出願されたものである。

2.原査定の拒絶の理由
 原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、国土庁が農住組合制度の普及をはかるために同制度の愛称として採用した『AGRIA(アグリア)』と類似のものと認めます。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第4条第1項第6号に該当します。」と認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3.当審の判断
 本願商標は前記の通り、「アグリア」の片仮名文字を書してなるものである。
 ところで、1996年3月28日付け共同通信によれば、「AGRIA(アグリア)」の語は、国土庁(現在、「国土交通省」)が平成8年4月に農住組合制度の普及をはかるために同制度の愛称として採用した語であり、イタリア語の「農」を意味するAGURICOLTUREと「住」を表すABITAREを組み合わせた造語と認められる。また、そのシンボルマークは、農地所有者と住民、行政・農協の三者を、空飛ぶ三羽の鳥に見立てて図案化したものであって、自治体や農協などのポスターや農住組合のパンフレット、工事用看板などに使って、PRし、組合設立の促進に役立てているとの記載がある。
 さらに、シンボルマークの3羽の鳥の図形及び「AGRIA(アグリア)」の文字を表紙又は裏面に使用した「農住組合制度のあらまし」の冊子が、最新版としては(財)都市農地活用支援センターにより平成14年3月に発行され、同じく、「農住組合推進協議会会報」が、平成14年2月に発行されている。
 そして、これらの冊子は、全国の農住組合推進協議会をはじめ各市町村の県庁、市役所等の145団体に配布され、また、各市町村の農業団体等から要望があれば、その団体に送付されているものである。
 そうとすれば、本願商標は、国土庁が、農住組合制度の普及を図るために採用した著名な標章と同一又は類似の商標と判断し得るものである。
 したがって、本願商標を商漂法第4条第1項第6号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りではない。
 よって、結論の通り審決する。


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鈴木正次特許事務所

最終更新日 '04/09/07