最近の注目審決・判決を紹介します。
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1 本貫商標及び手続の経緯 |
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第5類、第29類、第30類、第31類及び第40類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2020年1月28日にスイス連邦においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2020年(令和2年)3月2日に国際商標登録出願されたものである。
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2 原査定の拒絶の理由の要点 |
原査定は、「本願商標は、その構成中にスイス連邦の国旗(以下「スイス国旗」という。)と同一又は類似の図形を顕著に有してなるものであって、同国の国旗と同一又は類似の商標であるから、商標法第4条第1項第1号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 |
3 当審の判断 |
(1)商標法第4条第1項第1号該当性について
本願商標は、別掲1のとおり、山脈を描いたシルエット図形(以下「上部図形部分」という。)と、その下に、水平方向に表した直線を介して、「nutri」の欧文字(以下「文字部分」という。)と、その右側に、上辺及び下辺が波形状に描かれた赤色の略四角形の中央に白色の幅広の十字を有する図形(以下「下部図形部分」という。)を配した構成からなるものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標の下部図形部分は、全体に占める面積比が小さく、また、折った屏風形状であり、白十字部分も歪んでいるから、赤い図形部分の形状もスイス国旗とは全くその構成を異にする旨主張する。
しかしながら、上記(1)のとおり、下部図形部分は、本願商標において、特に看者の目を引き、独立して認識、把握されるものであり、スイス国旗が風になびいている様を表したものと認識、把握されるものであるから、本願商標は、スイス国旗と類似の商標というべきである。 イ 請求人は、スイス連邦特許庁の書簡の写しを提出し、日本特許庁が、スイス原産・由来である指定商品・役務について、本願商標を登録することを、スイス国が認めている旨主張する。 しかしながら、本願商標が商標法第4条第1項第1号に該当することは上記(1)のとおりであるから、たとえ、請求人の主張する上記事情があるとしても、そのことによって、上記(1)の判断が左右されるものではない。 ウ 請求人は、外国の国旗を含む構成からなる商標の過去の審決、判決例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、請求人の挙げる過去の審決、判決例は、本願商標とは、構成文字や構成態様等が異なるものであって、かつ、具体的事案の判断においては、過去の審決例等に拘束されることなく、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別的に判断されるべきであるから、これらの事例の存在によって、上記(1)の認定判断が左右されるものではない。 エ したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
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1 手続の経緯 |
本願は、令和3年5月12日に登録出願された商願2021−57385に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、令和4年3月30日に登録出願されたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
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2 本願商標 |
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第39類に属する別掲2(※記載省略)に記載のとおりの役務を指定役務として登録出願されたものである。 |
3 原査定の拒絶の理由の要点 |
本願商標は、「コミ☆タク」の文字を普通に用いられる方法で表してなるところ、輸送に関する分野において、「コミタク」の語が、「乗合タクシー」ほどの意味合いを有する「コミュニティータクシー」の略語として使用されている実情が見受けられることから、「コミ」及び「タク」の文字を、「☆」の図形を介して結合させたに過ぎない本願商標は、「コミュニティータクシー(乗合タクシー)」ほどの意味合いを容易に理解させるものである。
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4 当審の判断 |
本願商標は、別掲1のとおり、「コミ」及び「タク」の文字を星形の図形を介して表してなる特徴を有するものである。
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