改正特許法等の解説・2005
〜職務発明・実用新案制度を中心に〜

  はじめに
 我が国は、夙に知財立国を国是として、その実現とその発展に尽力して来たが、特に平成14年(2002年)2月以来知的財産の戦略的保護・活用を国家目標とし、知的創造活動を刺激し、活性化を図って来ている。これに伴って法整備も逐年充実して来たが、その一貫として、特許審査迅速化等のための特許法等の一部を改正する法律が公布され、平成17年4月1日(一部平成16年10月1日、同6月4日)から施行されることになった。
 この度は特許法において、職務発明制度の見直しと、実用新案登録に基づく特許出願制度の創設及び、関連規定の訂正がされた。
 また実用新案法では、実用新案登録後の明細書等の訂正が許容される範囲が大幅に改正されると共に、権利存続期間(現行:出願日から6年)が、出願日から10年へと延長され、これらに伴う諸規定も整備されて、実用新案の有効性をより高めることができた。  前記の他に、特許審査に必要な先行技術調査の外注先の公益法人の要件の撤廃、及び特定登録調査機関の先行技術調査報告書を提出した審査請求について審査請求料の減額・その他インターネットを利用した公報の発行など、合理化により、審査の迅速化を図ったものである。
 特に、実用新案登録に基づく特許出願制度の創設、実用新案の存続期間の延長(10年間)によって、実用新案の利用価値が大幅に向上するものと期待される。
 前記のように特許法及び実用新案法が改正されて、職務発明の取り扱い等が容易となり、実用新案の有用性を向上し、その他の改正による合理化で各種の改善がなされたのである。従って、これらを有効に使用することによって、法改正の趣旨を達成することは疑いの余地がないが、改正された法律を駆使して発明等の技術を有効に使用するには、知的財産の戦略的実施に携わる者が、法規定のみならず、その運用に習熟する必要がある。  本書は、前記改正規定に対し、その周辺の法改正をめぐる動き、改正法の概要、更には実務上の応用などを含めて概説した。従って本書により改正法を駆使できるまではならないとしても、改正法の全容を知ることができ、改正法を研究する各位の一助になることを念願し、本書をお届けする次第である。
以上

平成17年1月1日

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鈴木正次特許事務所

最終更新日 '05/2/23